なびす画廊

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渡邉 盈展
WATANABE Mitsuru
2005.03.28(月)―04.02(土)

 | 作家コメント |

オーソドックスな油彩技法で、写実的な同じ絵を二枚づつ描いています。
モチーフは単調な風景や絵画史上の作品からのリファレンスだったりしますが、
同じものを二枚描くことによって内的主題は薄められ、描かれた内容より外的な構造としての「描くこと」「見ること」に重点をおいています。

個別的な作品性より、芸術自体が内包する至高性やオリジナルとモデルの問題、あるいは絵画におけるヴィジョンの生成の場はどこにあるのかといった問題提起をするかもしれません。
あるいは二枚の絵は、対照化されることで「鑑賞」ではなく「鑑別(分析)」を見るものに求めるでしょう。しかしそうした分析的鑑賞法は、つきつめればそれぞれの作品に接する際の感受の個別性、非連続性に行き当たり、翻って結局は、自己の感受性のクオリアという不可知の領域を覗かせることになるかもしれません。

いずれにせよ作品の中にそれらの解答は用意されてはいません。
答えのない謎かけ。二枚の絵画を見る時、そんな無限ループに落ち込むような眩惑感を感じてもらうことこそ作品の狙いと言えるかもしれません。

2005.1.7 
渡邉盈

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