阿部 彰展 ABE Akira 2003.11.17(月)―11.29(土) | 作家コメント | 阿部彰のビュラン アキラ・アベは金属で金属に耕作する。抑制されていた波間から波状のうねりが、動きの軌跡(ながれ)をそこなわれることもなく、忽然と湧き上がってくる。そこに彼がたえず生み出す小さな奇跡が秘(ひそ)んでいる。「時には波のように」と彼はいう。だが、溢れる上潮(あげしお)をすくい上げては、そのつど波に生命を与える。しかし、自然の冗漫さをなぞるのではなく、むしろ、その複雑さを簡潔さに置き換えて提示しようとしているのだ。彫り、刻み、曲げる刻線を通して、飛び散る泡に閉じ込める一方、また、水泡のような水脈を描くことによって、作家は、黒いインクに泡の白さを一層きわだたせている。銅版画の伝統とメチエの厳選にたえず培われてきた作家の情熱がみのりをもたらした精魂のこもった仕事である。 ロベール・マルトー(詩人)
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