なびす画廊

nabis gallery
exhibition

artists info

 
 VENUS,mixed media,2006,162x130cm(F100)

企画
甲斐 雅之展
KAI Masayuki

2008.01.07(月)―01.25(金)
※日曜・14日(月・祝)休廊

 日本の現代美術は近代からわずか100年を越さないうちに美術の世界をさえ乗り越えて形而上学的領域に革命的に踏み入った。甲斐雅之がボザールを卒業してパリに現れた頃である。彼はすでに自分を天才だと言い、それは他人に対する逆説的なユーモアとも感じられた。しかしこの自己宣伝はやがて現実のものとなって、彼はパリの美術界に出現した。

 二メートルを越す大作に汚点が無秩序に拡がっただけのものだが、その汚点の拡がりが地球図になっていて、全体としては人類の天然資源活用に対する強烈な抗議となっている(とみえた)。土に埋めた布の腐敗の早さ、恐怖の深さが申し分なく掘り起こされている。これはもうユーモアと呼ぶにはあまりにも悲劇的だ。工業用地の地中で受けた傷は彼自身のものだったかも知れぬ。

 甲斐雅之のこれからの発展が待たれる。
                    田淵安一

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