なびす画廊

nabis gallery
exhibition

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「扶桑南溟神霊賛」
80.3×80.3cm(S25)
2010 カンヴァスに油彩

「八耳」
116.6×72.8cm(M50)
2010 カンヴァスに油彩

「蟲丸」
22.8×15.8cm(SM)
2010 カンヴァスに油彩

企画
橋本 倫展
HASHIMOTO Osamu

2010.12.06(月)―12.18(土)


 今回の個展は、個展であって同時にグループ展の形式を取るという特異なスタイルとなる。そればかりではなく、美術館や、アート・フェア等を一手に引き受けている数々のコマーシャル・ギャラリーに於いても容易には実現し難い形式の展示となるだろう。更には、絵画の分野に於いて、ここではあらゆるボーダーレス化が図られる。曰く、個展とグループ展、現代美術と古美術、専門作家とアマチュア作家、油彩画形式と東アジアの古典的絵画形式、著名と逸伝、現在と過去、生者と死者、画壇と在野等々・・・。私は宛ら、降霊術のように、その多くが逸伝となってしまった過去の画人達の、決して“過去化”してはいない、そして私に多くの影響を齎してくれた作品群を呼び寄せ、ジャズの用語を借りるならば、それらとの“Call & Response”を試みようと企てるのだが、これは同時に批評的側面を含む。彼ら逸伝の画人達と同様、今この瞬間にも、将来“逸伝化”しかねない優れた画人達が、何処かで描き続けている筈なのだ。しかし、昨今の情勢、すなわち、ネオテニー的なジャパン・アートや市民参加型・町興し型・コミュニケーション最優先型のイベント・アート、印象派や古代文明秘宝展のたぐいが衆目を奪い尽くしている現状にあって、これら画人達の努力の報いられることは殆ど期し難い。私が会場に招来する描き手8人の顔ぶれを見てみよう。中国近代直隷派軍閥の大物、第二次世界大戦前に国家からの大弾圧を受けた新興宗教の最高指導者、常陸の国の一隅で、文字とも画ともつかぬ壮大な画面を産み出し続けた正体不明の花文字絵師、先の大戦の余燼覚めやらぬ時代、東北の片田舎で異様な緊迫感に満ちた稲荷明神図を描き出した謎の画人、湯殿山で五千日にも及ぶ山篭りを続けた行者、禅僧であり公務員であり同時に画壇画家でもあった不思議な画人、19世紀の豊後国のとある地方で、微生物が乱舞するような不可解な画面を描き出した姓名不詳の僧侶画家、そしておそらくは最後の朝鮮通信使の一員として来日し、現存僅か2点の、驚くべき先進性に満ちた絵画を描き遺した文人画家がそれである。彼らを招き入れたこの展覧会は、私以外の出品者が“全て死者達”であるという、いわば平成22年の「DE MYSTICA」展となるだろう。

2010. 8   橋本 倫 記
                      

→作家略歴/Biography
→2002年個展/Exhibition in 2002
→2004年個展/Exhibition in 2004
→2006年個展/Exhibition in 2006
→2008年個展/Exhibition in 2008

▼橋本倫「北溟」展のお知らせ▼
2011年10月22日(土)から11月27日(日)まで、
北鎌倉のPOLARIS☆The Art Stageにて展示を行ないます。
こちらも是非ご高覧下さいませ。
→詳細はこちら









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