なびす画廊

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山本 達治展
YAMAMOTO Tatsuji
2005.07.25(月)―07.30(土)

 | 作品についてのコメント |

このところ、日本人にとっての平面とは何か、という事を時々考えます。西洋の重厚な表現に憧れつつも、どこか淡白で、「刹那的」といっても良いほど瞬時の表現に終始してしまう私...。油絵科を卒業していながら油絵に限界を感じ、模索を続けスタイルも節操無くころころと変わってきました。前回の個展ではイメージを重ねあわせるという事に重点を置き、マスキングや型紙を使って絵を描いたのですが、その後1年ほどスランプに陥り、絵を途中まで描いては投げ出してしまうということが続きました。冷却期間をはさんで試し始めたのが薄美濃紙という和紙にガッシュで描写(ドローイングと言った方が適切なのか...)して、それを支持体の上に蜜蝋を使って幾重にも張り重ねるという技法です。この技法の特徴は、下の層の描写を損ねることなく上にどんどん新たな描写を重ねていけるという点です。例えてみるとフォトショップというパソコンソフトの「レイヤー」に、どこか似ている気がします。透明なシート
に自分の行為を焼き付けて、それを張り重ね、重層化していく...。そのことによって油彩画の重厚さに負けない平面が出来上がっていくのではないかと思っています。今回は風景をモチーフにしました。自分にとって絵画の原点であり、初心に戻って絵を描きたいというのが選んだ理由なのですが、割と自分にあったモチーフなのかなと感じています。考えてみたら昔の日本人は、難しいことを考えずに目の前の風景をさらさらっと筆を走らせて描いていたのかも...。そんな事も感じます。


→2003年の個展
→2006年の個展


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