なびす画廊

nabis gallery
exhibition

artists info


「Qaf山の七つの峰と七つの秘景 III」
162.1×162.1cm(S100)
2008 キャンバス、油彩


「半身を隠したサイケデリックな山水I」
91.0×72.8cm(F30)
2008 キャンバス、油彩


「ジョルジャーニーの眼底の光輝(エメラルドの壁龕)」
72.8x60.6cm(F20)
2008 油彩、キャンバス、額


企画
橋本 倫展
HASHIMOTO Osamu

2008.12.08(月)―12.20(土)


 近年、“現代アート”を概観すると、旧来の日本の伝統的な“祭り”としての性格を強めるイベント(事)へとシフトする方向と、もう一つは、愛玩物的フェティッシュへとのめりこむフィギュア的物体(物)へとシフトする方向へと、大きく二分される傾向にある。前者の流れでは、地域振興や社会問題への“アーティスティックなアプローチ”や、人々の日常生活へちょっとした新鮮な視点を提供する街角のアイデア的な仕掛け物や、観客参加の体験型アートなどがクローズアップされ、後者の流れでは、極度に表層的且つ幼形成熟的で、幅の狭いテイストの中に閉じ籠り、同時に一切の形而上学も神秘論的世界解釈の有効性をも拒絶する、少女風に頑なで、絶望的なシニシズムすら漂わせた無残なフェティッシュへと堕している。
 私は、イベントにもフィギュアにも組さない。人々の共同体幻想を一時的に惹起するため、多少なりとも新鮮なアイデアとやらを大掛かりなイベントで街中に展開するフェスティバル型若しくは体験型“アート”の空々しさにも、現代日本のアート市場を席捲しているフィギュア型物体趣味にも組さない。街角で人々を巻き込んで次々と“面白いアイデア”を実現したり、“ぶよぶよの少女風の幼形成熟的愛玩物”を大量に無自覚に垂れ流しにしている流行の“ジャパン・アート”の側にではなく、真理を追究する、絶対少数の芸術の側にこそ立つものである。

橋本 倫 記
                      





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